お子様の歯の健康状態は、生え替わったあとの永久歯に大きな影響を与えます。
当院では、お子様が歯医者に対して「痛い思いをする」というイメージを抱かせないよう、下記のような様々な工夫を行っています。
- お口の中を自発的に見せてもらえるように、やさしくお声がけをします。
- 嫌がっている子に、無理な診療や治療はいたしません。
- 親御さんにも付き添っていただきます。
- 治療内容について、お子様でもわかるように丁寧に説明します。
- 予防処置によってお口の中がさっぱりし、ツルツルピカピカになることを伝えます。
- 治療がちゃんと受けられたらしっかり褒め、ご褒美も用意しています。
こちらでは、お子様の歯のことや治療について、また予防方法などをご紹介していきます。
目次
子どもを歯医者嫌いにしないために重要なポイントとは?
生涯歯を守るためには最初が肝心
歯は一生つきあっていく、大切な体の一部です。
万一歯を失ってしまっても、現在では代用となる人工的なものがたくさんありますが、天然歯に勝るものは未だ登場していません。
末永く自分の歯を維持するためにも、予防のために歯科医院へ定期的に通う習慣をつけましょう。
お子様を歯医者嫌いにさせないためにできること ~親御さんへのお願い~
大人でも歯科治療に対して恐怖心をお持ちの方はいらっしゃいます。
ご自身が受けた治療経験から恐怖心が生まれる場合もありますが、「歯医者さんは怖い」といった先入観があるために歯医者を避けてしまっている場合もあります。
お子様に誤った先入観を植え付けないよう、ご家族の方もご協力をお願いいたします。
こんな点に気をつけましょう
- お子様をたしなめるときに、歯医者を引き合いに出さないでください。
- 「何もしない」「見てもらうだけ」といったように、うそをついてまで連れて来ないでください。
- 歯科治療で痛かった経験があっても、小さなお子様には話さないでください。
- 治療で泣いたり嫌がったりしても、叱らないでください。
- 治療後は、大げさなくらい家族中で褒めてあげてください。
- 次の治療につながるよう、自信をつけてあげられる声掛けをしてあげてください。
お子様が歯医者へ通うタイミングとは?
子どものお口のケアはママが妊娠中のときから始まっています。妊娠中のご自身のケアや食べ物に気を付けましょう。
また、お子様はある程度大きくなるまで自身で口腔ケアを十分にはできません。
予防のポイントに従ってご家族の方がお口のケアをしてあげましょう。
虫歯がなくても歯医者に来ていいんです!
歯が生えたときから、毎日が通院のタイミング伸びた髪をカットして身だしなみを整えるように、歯医者でお口の健康を維持して快適な毎日を送りましょう。
虫歯ができたら歯医者に行くと思っていませんか?
そうお考えの親御さんは多いと思われますが、実はそれではお子様の歯は守れません。削る治療などによって歯は少なからずダメージを受けているからです。
通院のタイミングは、虫歯がない状態のほうがむしろベター。これからは治療のために通うより、予防のために通う時代です。
1歳半を過ぎたら、歯医者デビューの時期です。健康な状態を維持するために、積極的に歯医者へ通いましょう。
妊娠期
妊娠初期にはつわりで十分なお口のケアができないことも。
さらに、出産後は赤ちゃんのお世話にかかりきりになってしまい、ご自身のお口のケアは後回しになってしまうお母さんは少なくありません。
予防のポイント
妊娠期に十分に栄養を摂ることが、赤ちゃんの丈夫な歯の土台づくりに役立ちます。
肉・魚・卵などの動物性たんぱく質、大豆製品などの植物性たんぱく質をバランスよく食事に取り入れましょう。
また、十分なケアができなくなることにより歯周病になると、お腹の赤ちゃんの健康に影響を与えることがあります。
歯周病になると、陣痛にも似た子宮の収縮を招くことがあるため、早産や未熟児出産を招いてしまうことあるのです。
口腔内のケアにはそれまで以上の注意をしましょう。
乳児期(生後6ヶ月くらいから)
生後6ヶ月くらいから生え始める乳歯。
乳歯はやわらかく虫歯になりやすいため、生え始めたら、歯みがきなどのお口のケアが必要。
難しいとは思いますが、授乳したまま寝かせないことも大切です。
親御さんが仕上げみがきをやさしくしっかり行うことが、虫歯予防の最大のポイントです。
また、必要に応じてお口を開ける習慣が身につくと、その後、歯医者さんでの診察も楽にできるようになります。歯が生え始めたら、親御さんがやさしく歯磨きをしましょう。
大人の真似をすることが大好きな赤ちゃんには歯ブラシを自分で持たせてあげることも、よい習慣づけになりますね。
幼児期(1歳6ヶ月から3歳くらい)
1歳6ヶ月くらいから3歳にかけて、上下の前歯12本、奥歯4本の乳歯が生えてきます。
この時期が一番虫歯になりやすいとき。保健所で1歳半健診・3歳児健診がありますので、積極的に乳歯の生えそろい具合や咬み合わせについてチェックしてもらいましょう。
また、そのとき限りにしてしまわず、定期的に歯科医院での検診も受けておきましょう。
虫歯予防のためには、しっかりと歯みがきをすることが大切です。
まず、お子様自身が歯みがきの大切さを理解できるように、やさしく・楽しく伝えましょう。
とはいえ、まだまだ自分できれいにみがくことは難しい時期ですので、親御さんの仕上げみがきでしっかり汚れを落としてあげてください。
学童期(小学生くらい)
学童期は、乳歯が永久歯に生え変わる時期。6~12歳頃に28本の永久歯へと生え変わります。
この時期は、抜けた歯や生え始めの永久歯などにより歯並びがデコボコになってしまうため、歯みがきが難しく、虫歯リスクが高くなります。
また、6歳頃に生えてくる「第一大臼歯(6歳臼歯)」という奥歯は、歯ブラシが届きにくいうえに深く細かい溝を持つため虫歯になりやすくなっており注意が必要です。
生え始めの永久歯の歯質を強化し、虫歯を予防するフッ素塗布が有効です。
また、第一大臼歯の溝をあらかじめ歯科用プラスチックで塞ぐシーラントという予防処置がおすすめです。
なお、一人で歯みがきできるようになっていても、小学校低学年まではご家族の方が仕上げみがきをしてあげてください。
子どもの歯科診療の流れ
当院の子どもに対する歯科診療の基本的な流れをご紹介します。
当院ではご来院頂いてすぐに治療をはじめることはありません。
自然と診療台に座れるよう、自然とお口を開けられるよう、コミュニケーションを重視しながらゆっくりやさしく促していきます。
診療の流れ
- 受付・問診票
- 初めてのご来院時には、保険証の提示、問診票の記入をお願いします。
お名前をお呼びして診察室にご案内します。お子様が自分から口を開いてくれるよう、コミュニケーションを重視しながら診察を行います。また、問診票をもとに親御さんからもしっかりお話をおうかがいします。
- 検査
- お子様のお口の状態、年齢や性格を考慮し、治療計画を立案します。治療内容については、お子様や親御さんにわかりやすくご説明いたします。
- 治療(必要な場合のみ)
- なるべく痛みを感じさせないよう麻酔を工夫して無痛治療を行います。お子様にもきちんと説明して、怖がらせないような工夫をします。
上手に受けられた子にも、泣いてしまった子にも、治療をがんばれたその日のごほうびとして、お子様に人気のあるおもちゃなどをプレゼントしています。次の予防や治療の励みになるよう、親御さんからもぜひ褒めてあげてください。
- 予防処置
- お子様のお口の状況に合った歯みがき指導、フッ素塗布、シーラントなどの虫歯予防処置を行います。まったく痛みはありませんので、ご安心ください。なお予防処置は3~6ヶ月に一度、定期的に行うとより効果的です。
大切な歯をプロの手による予防処置で守る
虫歯予防のためには毎日のご自宅でのケアに加え、歯科医院でできるプロフェッショナルな予防処置を活用することが大切。
当院で行っている、お子様向けの予防歯科メニューをご紹介します。
PMTC~専門的な歯のクリーニング~
大人でも毎日の歯みがきだけでは、しっかり汚れを落としきることは困難。PMTCは、歯科衛生士の手による、専門器具を用いたお口のクリーニングです。虫歯菌や歯周病菌が棲みつくプラークや歯石を徹底的に除去し、再付着を防ぎます。虫歯予防だけでなく口臭予防にも役立ち、処置後はすっきりとした爽快感があります。
歯磨き指導
虫歯予防の基本である歯みがきは、お口の中の状況によって適切な方法が変わるもの。歯みがき指導では、お子様のお口に合った歯ブラシの選び方やみがき方を指導します。当院では、まずお子様本人に指導をし、その後、親御さんにも覚えていただくようにしています。
仕上げ磨き指導
仕上げみがきといっても、ただ力任せにみがくのは逆効果です。お子様が歯みがきを嫌がる原因にもなりかねません。当院では、お子様と親御さんが楽しめる、効果的な仕上げみがき方法を指導しています。 お子様の歯の毎日のケアには、親御さんの仕上げみがきが不可欠。小学校低学年までは、しっかり親御さんが仕上げみがきをしてあげましょう。
シーラント
6歳頃から生えてくる奥歯「第一大臼歯(6歳臼歯)」は虫歯になりやすい歯。歯ブラシが届きにくいこともありますが、深くて複雑な形をした溝があるため、そこへ食べかすや虫歯菌が侵入しやすいのです。この溝をあらかじめ人工的に埋めてしまう処置がシーラント。お子様の奥歯の虫歯予防に効果的です。
フッ素
生え始めの乳歯や永久歯は、抵抗力が弱く虫歯になりやすいものです。しかし、お子様は自分ひとりではケアはしきれません。そこでおすすめなのが、フッ素です。虫歯になりやすい歯にフッ素を活用することで、虫歯予防に役立ちます。
歯質の強化
フッ素が歯の表面のエナメル質に取り込まれることで、虫歯菌の出す酸に強い歯になります。
歯の修復を助ける
虫歯になると酸によってエナメル質が溶かされますが、フッ素にはこの溶けたエナメル質を再結晶化(再石灰化)させる働きがあります。そのため、ごく初期の虫歯であれば、フッ素の塗布によって虫歯を改善させることが期待できます。
虫歯の活動を抑える
虫歯菌が棲みついているプラークの中にフッ素が入り込むことで、虫歯菌の活性化を抑えられます。虫歯菌の「酸を出す」という工程を抑制することになるのです。
効果を知って他のケアと組合せましょう
フッ素の働きは「歯を丈夫にすること」。けっしてプラークを付着させづらくしたり、虫歯菌を退治したりできるわけではありません。そのため、歯みがきなどで汚れを落とすことを基本にし、虫歯予防の補助としてフッ素をお口のケアに取入れるようにしましょう。
お子様の歯に関するQ&A
- お母さんから虫歯がうつるってホント?
- 虫歯になりにくい口腔内環境にするためには、2歳までに虫歯菌に感染させないことが大切。
乳歯に虫歯がなければ、将来虫歯になる確率は10分の1にまで抑えられるといわれているのです。
では、虫歯菌の感染は、どうやって防げばよいのでしょうか。
まだ歯の生えていない赤ちゃんのお口の中には、虫歯菌は存在しません。しかし、大半の子は、歯が生え始める生後半年くらいから虫歯菌が棲みつくようになります。
これはいったいどうしてでしょう? 食べ物の中に虫歯菌がいる?
いいえ、違います。虫歯菌は、生活の中でご家族、おもにお母さんから感染するのです。赤ちゃんのための行為が虫歯菌の感染につながることも……!
- ミルクの温度を確かめるために、哺乳瓶に口をつける
- 食べ物の温度を確かめるために、お箸やスプーンに口をつける、共有する
- 赤ちゃんにキスをする
- 赤ちゃんの口に触れやすい手や指に口をつける
- 硬い物を親御さんの口で咬み砕いてから食べさせる
口移しについて気をつけていらっしゃる親御さんは増えてきています。
しかし、どんなに神経質になっても、生活の中で完全に接触を避けることは難しいのも事実です。
虫歯になりにくい口腔内環境にするためには、ご家族の方のお口の中に虫歯菌が存在しないようケアに努めることが大切なのです。 詳しくは『予防歯科』をご覧ください。 - 歯並びが悪いのはどうして?気になるの…。
- え!?こんなことで?と思うようなことで歯並びは乱れてしまいます。
歯並びの乱れは放っておくと危険です!
子どものたわいもないクセなどが歯並びを乱す原因となることがあります。
歯並びが乱れると、見た目が悪くなるだけでなく健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
お子様の将来の健康のために、気になるクセがあったら早めにやめさせてあげましょう。
お子様の歯の矯正については『矯正歯科』をご覧ください。 - おうちでも虫歯予防ってできるの?
- おうちでのケアは、歯磨き以外にもたくさん。関連グッズもさまざまです。
「歯医者さんで予防処置をしているから大丈夫」。確かに、歯医者さんでの予防処置はご自宅でのケアより効果的ですが、それは結局ご自宅でしっかりケアできるのが前提。
ご自宅でのケアには歯磨き以外にも様々な方法がありますので、ぜひ実践してみてください!
子ども用虫歯予防グッズも活用しましょう
お子様の歯に効果的な、さまざまな種類の歯みがきグッズが登場しています。
フッ素配合ジェル・ミネラル
歯みがき後、就寝前に塗ることで歯の表面にフッ素を取り込ませます。20~30分はうがいをしないようにしましょう。
お子様用デンタルフロス
歯の形状に合わせて、さまざまなタイプがあります。1日1回はデンタルフロスを使用することが理想的です。使用できない場合でも、少なくとも1週間に2回は取入れるようにしましょう。
虫歯になりにくい食事をしましょう
虫歯は食事の摂り方や生活習慣によって、予防効果が期待できます。虫歯は、虫歯菌がお口の中に残った食べかすの糖分を栄養として酸を出すことで起こります。この仕組みをしっかり理解し、虫歯になりにくい食生活を心がけましょう。
栄養バランスのよい食事
栄養バランスのとれた食事は体の成長を促すだけでなく、歯質も高め虫歯菌への抵抗力を養います。
時間を決めた食事やおやつを
一度にたくさん食べられないお子様の場合、こまめな栄養補給が大切です。しかし、だらだらと食べていると、そのぶんお口の中に糖分が残ります。食事もおやつも、時間を決めて上手に栄養を摂るようにしましょう。
糖分の少ないものを
虫歯菌が栄養源とする糖分は、甘い物に含まれています。あまり砂糖が入っていないものが望ましいでしょう。また、虫歯予防に役立つキシリトール配合のおやつなどはおすすめで、甘さが感じられるのでお子様も好んで食べるでしょう。また、食べ物の好みは3歳までの食生活が影響するといわれています。虫歯の原因になりやすい、甘いおやつなどは控えめにしましょう。
しっかり咬んで食べる食事を
よく咬むことで、殺菌作用のある唾液の分泌が促されます。また、お口の中の乾燥を防ぐことで虫歯菌の増殖を抑えます。
食後や就寝前の歯みがき習慣を
食後30分くらいから虫歯菌が活発になるとされています。食後はできるだけお口に糖分が残らないよう、歯みがきをする習慣を身につけましょう。歯みがきができない状況なら、口の中をゆすぐだけでも効果があります。また、唾液の分泌が減る就寝中は虫歯菌が繁殖しやすいため、就寝前の歯みがき習慣も大事にしましょう。
飲み物にも注意
糖分の多い、ジュースやスポーツドリンクをあまり摂りすぎると虫歯の原因になりやすいため、普段の水分補給にはお茶や水がおすすめです。また、炭酸飲料や柑橘系のジュースなどは酸性度が高いものがあります。歯を溶かす原因になることもありますので、飲み過ぎには注意しましょう。